「生きた証し」誰に! ~寄付・ペット…変わる相続 ~

「全財産を寄付したいんです!」
昔からの依頼者に、突然言われました。
「自分の死後、残ったお金は公共の役に立ててほしい。それが今までお世話になってきた社会への恩返しと、私が生きてきた証です。」
最近、身寄りのない方や、親族との関係が疎遠になっている人から、寄付の相談を受けることも増えてきました。
「そんな、もったいない・・・」と最初は思いましたが、相続人がいないもしくは没交渉の相続人しかいない人にとっては、勝手に自分の遺産を使われるよりも、自分の思い通りに遺産を使ってほしいと思うのかもしれません。
阪神淡路大震災後はボランティア元年と言われ、東日本大震災後は寄付元年と言われています。
寄付をする習慣が、日本人にも付いてきたのではないでしょうか。
数年前に流行った、タイガーマスク現象もその一環ですね。
あの世には、何も持っていくことができません。
有意義に自分のお金を使い切ることも、考えたほうが楽しいですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
野村資本市場研究所の推計では、国内で1年間に相続される資産総額は50兆円強。
一方、相続税の申告から把握できる相続財産の寄付額は13年時点で約300億円にとどまる。
日本では財産を親族に譲るという考えが根強いが、核家族化などの影響で、遺産を公益性の高い団体に譲れないか考える人も出てきている。
「遺贈寄付サポートセンター」を運営する日本財団によれば、2015年度に150件だった遺贈に関する相談が17年度には約830件となった。
親族と疎遠だったり、不仲だったりする場合、自らが築いた財産を社会のために役立ててほしいという人が関心を寄せている。
最高裁の資料では、相続されずに国庫へ入った個人の金銭などは、17年度に約520億円と5年前から約4割増えた。
東日本大震災で寄付への関心が高まったこともあり、国庫に入るなら納得できるところに財産を残したいと考える人も増えている。
総務省の家計調査報告から単純計算すると、貯蓄の60%近くを60歳以上の高齢者が占めている。
「老々相続」が年々進むなか、生前贈与を促す政策の後押しも必要だろう。
(平成30年11月8日 日本経済新聞より抜粋)

by
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です