【配偶者の優遇措置①】おしどり贈与(配偶者控除の特例)

我が国では、婚姻関係にある相手方(=配偶者)の権利を守る法律や、税金面での優遇制度が数々設けられています。税金面では所得税の「配偶者控除」や「配偶者特別控除」だけでなく、贈与税や相続税についても優遇される制度があるので確認しておきましょう。

まずは、贈与税。

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、「居住用不動産」または「居住用不動産を取得するための金銭」の贈与が行われた場合、年間の基礎控除額110万円のほかに、最高2,000万円まで控除できるという特例(通称「おしどり贈与」)があります。

例えば、夫の財産が、相続税の基礎控除額〔3000万円+(600万円×法定相続人の数)〕を超えそうな場合、生前に夫の財産を妻に移行しておくことで相続財産を減らして、相続税を抑えることができます。

通常、贈与者が亡くなるまでの7年以内(※2024年1月の贈与分から段階的に3年~7年に延長)に贈与された財産は、相続税の課税対象になります。しかし、おしどり贈与で贈与された不動産(または購入資金)は、亡くなるまでの7年以内の贈与であっても相続税の課税対象に加算する必要はありません。

また、2019年(令和元年)7月1日以降におしどり贈与で贈与された財産は、遺産分割の際に、特別受益として持ち戻す必要もなくなりました。

なお、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、税務署に申告して初めて贈与税が非課税になりますので、お忘れなく。

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