税務署からの「お知らせ」と「お尋ね」の違い
相続が発生し、死亡届が市区町村役場から税務署に提出されると、税務署は「KSKシステム」(※)で故人の財産を調べます。そして、相続税がかかりそうな相続人に対し、「お知らせ」または「お尋ね」を送ることがあります。
1. 「相続税についてのお知らせ」(通称:「お知らせ」)
こちらは「相続税を知っていますか?」という、周知・広報を目的としたパンフレットです。
<対象者>亡くなった方のご家族(相続税がかかる・かからないに関わらずランダムに抽出)
< 内 容 >一般的な相続税の制度について書かれています。
< 対 応 >基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えなければ、申告の必要はありません。
2. 「相続税の申告等についての御案内」(通称:「お尋ね」)
こちらは「相続税がかかる可能性が高いので、しっかり調べてください」という調査の第一歩です。管理番号が付されているのが特徴です。
<対象者>相続財産が3000万円以上あり、相続税の申告をする必要性が高い人
< 内 容 >『相続についてのお尋ね』という書類が同封されており、財産内容を記入するよう求められます。
< 対 応 >相続税がかかる・かからないにかかわらず、「お尋ね」に回答して税務署に返送しましょう。その上で、相続税がかかりそうな場合は、期限までに申告と納税をしなければなりません。
「お尋ね」は緊急性が高い
「お知らせ」と「お尋ね」は、いずれも相続発生から約6ヶ月後に届くことが多く、相続税の申告・納付期限まで4ヶ月ほどしかありません。「お尋ね」には法的な回答義務はありませんが、無視していると税務調査の対象になる可能性があるため、速やかに対応することをおすすめします。
※KSKシステム(国税総合管理システム)・・・全国の税務署と国税局に集まったデータを一元管理しているシステム。過去の収入・不動産の所有状況・生命保険会社や証券会社からの調書・金やプラチナの買取販売業者からの調書・相続時精算課税の利用の有無など、様々な情報を管理しています。