独り身高齢者 安全網に隙間 ~身元保証代行、不透明契約相次ぐ~
独り身の高齢者の身元保証代行を巡る訴訟で、業務契約の不透明さを断じる判決が相次いでいる。
「死亡後は代行者に全財産を譲る」といった契約や、認知症の人を相手に5分の面談で交わす契約など・・・。
身寄りのない高齢者が介護施設への入所や医療機関への入院を希望する場合、身元保証人の確保が壁になる。厚生労働省の17年の調査によると、入所・入院時に身元保証人の署名などを求めるのは介護施設の95%、病院の65%を占めた。
受け入れ側が緊急時や死後の対応に不安を覚えることもあり、死後、費用精算や入所者らの引き受けまで請け負う民間の身元保証代行の活用が広がる。
独り身の高齢者の支援は近年急速に深刻化しているが、身元保証や死後の事務を目的とした公的サービスは未整備の状態にあるため、いずれは社会としての安全網を整える必要がある。
(令和3年3月16日 日本経済新聞より抜粋)
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「米田さんに全部遺贈するという遺言を作ってください!」
そう依頼されたことは、一度や二度ではありません。
配偶者を亡くされ、子どもがいない方の相続のお手伝いをした際、「今後のサポートもお願いするので最後に残った遺産は全てもらってください」と言われることが何度もありました。
非常にありがたいですが気持ちだけ頂いて、公共の施設などに寄付する内容の遺言作成をお手伝いしました。法律的には問題ないとは思いますが、心の法律に抵触する気がしてこれからも一切行いません。
でも実際に、「遺言執行者に全て遺贈する」という遺言を見たことがあります。
しかも、その執行者の方は士業協会の役員さんで、会報などでは倫理に関する注意点を書かれていた方でした。それを見た時に、非常に悲しい思いをしたことを今でも思い出します。様々な事情があって、そういう内容の遺言になったのでしょうが、依頼者は内容を撤回したいという理由で来られました。
皆さんが作成のお手伝いをした遺言書は、知り合いの士業の方に見られても胸を張って説明できる内容でしょうか?
相続の手続きをサポートすると、依頼者から全面的に信頼され、何でも勧めることができる立場になってしまいます。
その時に、自分の人生に恥じることをしないことが大切です。
できたとしても、あえて「やらない」が選べる人がプロだと思います。
今後も、独り身の高齢者が増えるにつれて、親切心という仮面を被った問題のある団体も増加します。本記事の団体がそうとは限りませんが、そういった高齢者を守っていくのも、私たち相続手続カウンセラーの役目かもしれません。