相続税 きっかけは日露戦争 ~「長男優遇」から「配偶者に配慮」~

知りませんでした!

相続の仕事を長年していながら、相続税のルーツを初めて知りました。

明治後期に、日露戦争の戦費調達のための増税策がきっかけだったとは。

次回のセミナーの中で、余談として使えます(^^)/

昔は、長男(家督)相続で戸主が財産を引継ぐ代わりに、介護を含めて家族を養うという考え方が一般的でしたが、ずいぶん世の中が変わりました。

「施設で介護するのであれば、家に財産を遺さなくてもいいよね」って税務署の考えが読み取れます。

贈与税も課税強化されることが決まっています。ますます富の再分配が進み、親ガチャという言葉も無くなるかもしれません。

所得税を払った後にさらに相続税が取られるという、二重課税は酷いとずっと思っているのですが、誰も文句言わないから、おそらくこのままなんでしょうね・・・

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日本に相続税が導入されたのは明治後期。日露戦争の戦費調達に悩んだ増税策の一環だ。戦時中の地租や所得税率の引き上げといった「非常特別税」や、出征者の所得税免除などと並行して審議された。

第2次世界大戦前の家制度では、長男1人が戸主の地位と全財産を引き継ぐ「家督相続」が原則。家督には「家族を養う責任がある」として、相続税率も他の家族より軽減されていた。

明治末期から大正初期にかけて、家督相続に対する課税廃止が国会で論戦になった。「家督相続に対する課税を全廃すると戸主に財産が集中してしまう」「その財産を戸主が使い果たしてしまうと家族が路頭に迷う」という議論だ。「財産は個人ではなく家に帰属する」との考え方が根底にあったようだ。

一方、現行制度は配偶者への優遇が最も手厚い。戦後は家督制度自体が廃止され、相続税に配偶者向けの控除が新設された。「財産を共に築いてきた者への配慮」の意味合いが強い。

相続税は贈与税とともに、課税強化の方向で見直す流れになっている。22年度税制改正大網も「本格的な検討を進める」と明記した。日米の相続税を研究する九州産業大の浅川哲郎教授は「戦前の家督は、高齢者を含め家族を養う『家族の責任』と引き換えに税制面で優遇されていた。現代の相続増税の議論には、介護保険や高齢者施設の利用など『家族の責任の社会化』が背景にある」とみる。

相続税は既に所得税を払った故人の資産に課税する「二重課税」との批判もあり、廃止している国もある。

GHQによる財閥解体の意向など、戦後の相続税は「富の再配分」の機能が重視されるようになったという。『親ガチャ』のような生まれながらの不平等の解消が社会的な課題になっており、相続税は今後さらに、富の再配分という観点から注目が集まる税目になっていくのではないか。

 

(令和4年8月1日 日本経済新聞より抜粋)

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