生前贈与 前倒し促す ~相続税への加算期間、数年拡大~

令和5年度の税制改正で、実現しそうなのが、「贈与税と相続税の一体課税」です。
「110万円まで贈与税がかからない贈与も廃止されるのでは?」という噂も流れました。
しかし、暦年贈与に関しては廃止されることはないと思います。

なぜならば、宮沢洋一会長(自民党税制調査会)も中里実会長(政府税制調査会)も、「暦年贈与の廃止に関して否定的な意見」を述べているからです。

宮沢洋一会長は「東洋経済」の取材の中で、「個人的には、暦年贈与の110万円を縮小する必要はないと思う。なくすことは政治的にも難しい」と話されていました。

中里実会長は令和4年9月16日の政府税制調査会終了後の記者会見で「一部には、近々暦年課税が廃止されるのではないか、あるいは110万円の基礎控除が使えなくなるのではないかといった見方、ご懸念があるようですが、そういった議論を行うのではなく~」とおっしゃっていました。

第2回相続税・贈与税に関する専門家会合が、令和4年10月21日に行われましたが、ここで、財務省が作成した資料にも下記とあります。
「暦年課税による相続前の贈与の加算期間の見直しを諸外国の例も踏まえ、加算期間のあり方について、どのように考えるか」
諸外国の例はどうなっているかというと、イギリス:7年、ドイツ・韓国:10年、フランス:15年、アメリカ:期間制限なし(過去の贈与すべてを相続財産に加算)となっています。

私の予測では、金額が60万円に戻され、相続開始前10~15年間の贈与財産を相続財産に加算すると見込んできますが、さて、どうなるのでしょうか。

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財務省は2023年度税制改正で、相続財産として加算する期間を現在の3年間から拡大する方針だ。政府の税制調査会で方向性を議論しており、21日の専門家会合では5~10年間を目安に延長する方向で委員の意見がおおむね一致した。

海外では英国で7年、米国では一生にわたって相続財産として課税する。

暦年課税と精算課税の利用状況をみると、暦年課税が36万件に対し、精算課税は4万件と少ない。結婚・子育ての贈与は1000万円まで非課税となるが、21年度の新規契約数は153件で低調だ。23年3月末に期限を迎えるのにあわせて廃止をめざす。

 

(令和4年10月22日 日本経済新聞より抜粋)

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